企業理念

Company / Philosophy

財産を作る仕事

「ものづくり」は、基本的に楽しいものです。

創造し、加工し、生産することは、ホビーや料理、DIYや日曜大工など出来の如何にかかわらず人間として本能的な喜びを満たしてくれます。


「ものづくり」の最初の作業は、貴重な資源に刃物を入れ、切り刻むところから始まります。調達した材料に「さあ行くぞ!」とばかり刃物を入れる瞬間は、誰もが気合とドキドキの緊張を感じた経験があると思います。「ものづくり」はとても楽しいものですが、プロの現場となると自分のものを作るわけではなく楽しいだけでは済まされません。


ソファの修理の場合、丁寧に分解するところから作業を始めます。傷んだ状態のまま色々な座り方をして傷みの状況を確認しながら修理のポイントを計画するのですが、分解してしまうと仕上がりの見本が無くなるため「型紙」に写し取りながら分解します。表皮材、詰め物、バネなどを順々に取り外し骨組みのみの状態にしてから骨組みのガタツキや緩みを直し、場合によっては補強の骨組みを加えます。

私たちは「ものづくり」が職業ですので、
大量の資源を毎日切り刻むことになり、それは責任を感じずに入られません。
刻んだ資源で不要なものを作ったり、 間も無く飽きられるような製品になってはいけません。
刻まれた資源は、私たちの手により加工され製品となり、お客様に手渡し、 お客様が「大切なものを受け取った」と喜びを感じてくれることが使命です。
そのために、お客様のご要望を十分に理解し、私たちの経験値や創造力を重ね提案、 調整を繰り返し、明日の「素敵」を創造しています。
「大切なもの」はやがて愛着となり使い手の暮らしに密着し、 刻まれた資源が「財産」となることがこの仕事の存在価値となると信じています。

デザインの定義・太田一彦の独り言

職人としてものづくりを業とする私ですが、常々「デザイン」というキーワードが絡み合い、その真意は悩ましいものでした。が、 数年前についに誰にでも理解できる「デザインの定義」にたどり着きました。 現在、私が仕事をする上で大切にしていることを少し記します。

・私の「デザインの定義」

デザインとは、今日より明日が素敵になることを提案すること。

・私の「デザイナーの定義」

デザイナーとは私のいう「デザインの定義」を「職業」とする人。

つまり、デザインとは特別な形や色にこだわることではなく、相手のために誰も想像がつかない明日の素敵を 勇気と愛情を持って提案、行動するプロセスのことなのです。

誰もが子供の頃から家族や友人のために「デザイン」をしていたと思うのですが、 大人になるに従い社会のルールや世の中の決まりごと?が大切と教えられるのか、 デザインをする機会を減らし失っているように思えます。

明日のための愛情表現そのものを「デザイン」と呼んでも正解だとも思います。 そして「デザイナー」となると話は少しややこしくなります。

デザイナーは職業ですのでデザインに責任とお金が絡んできます。したがって、専門性が増し私のようなものづくりを通じてのデザイン、ファッション、ジュエリー、建築、暮らし、文化、政治・・・ と専門性は多岐に渡ります。 歴史を学び、現状を分析し、明日のため、湧き出る泉のような勇気と愛情、五感と創造力を総動員して 「デザイン」を「デザイナー」と呼ばれる領域まで到達させたいものです。

デザイナーはとても重労働な仕事となりますが、全てのプロセスに立ち向かい、野を超え山超え結果に辿り着けた時の充実感は人間として格別なものを感じ、力の続く限り「デザイナー」をすることで自分の周りが「素敵だらけ」になっていくこと、これが私の目標であり、企業理念に通づるところです。